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針供養とは
針供養は、折れたり古くなった針を休め、感謝の気持ちを込めて供養する伝統行事です。特に関西では12月8日に、関東では2月8日に行われることが多く、地域によって習わしが分かれています。もともとは裁縫が生活の中心にあった時代、日々の暮らしを支えてくれる道具へ心を向ける機会として大切にされてきました。
柔らかなものに刺して供養する理由
針供養では、折れた針を豆腐やこんにゃくといった柔らかいものに刺します。これは、日頃固い布地や長時間の縫い仕事で働いてくれた針に「今日は楽にお休みください」という気持ちを込めるためだといわれています。針を使う人の優しさと、ものを丁寧に扱う文化が感じられる儀式です。
道具を大切にする心
針供養は、単に古い針を処分するのではなく、道具に宿る「気」や「働き」への敬意を表します。現代では使い捨ての道具が増えましたが、ものづくりの現場では今もなお、この精神が受け継がれています。長く使ってきた道具に感謝することで、自身の仕事や技に向き合う姿勢も整う──そんな気づきを与えてくれる日です。
現代の針供養のかたち
和裁や洋裁の教室、手芸サークル、また寺社などでも針供養の催しが行われています。裁縫をしない人にとっても、消耗品や道具に心を寄せる良いきっかけとなるでしょう。私たちの生活は、見えないところで多くの道具に支えられています。年に一度、それらを思い返し感謝を込めることで、日々のものづくりや仕事がより豊かになります。

