8月21日は噴水の日──日本初の西洋式噴水が上野に登場した日

噴水の日とは？

毎年8月21日は「噴水の日」とされています。この日は、1877年（明治10年）に東京・上野公園で開催された第1回内国勧業博覧会で、日本初の西洋式噴水が設置されたことにちなんで制定された記念日です。博覧会は日本の近代化を内外に示す一大イベントであり、その中で披露された噴水は、当時の人々にとってまさに「文明開化」の象徴でした。

明治の博覧会と西洋文化の導入

内国勧業博覧会とは、明治政府が産業振興と技術発展を目的に開催した国内展示会で、明治期から昭和初期にかけて数回行われました。その第1回目が行われたのが、1877年の8月21日。東京・上野公園が会場となり、ここに日本初の「西洋式噴水」が設置されました。

当時の日本はまだまだ江戸時代の風情が残る時代。そんな中、西洋建築や機械、さらには噴水という新しい「動きのある景観」は、人々に強烈なインパクトを与えたといわれています。

現在も残る上野公園の噴水

この記念すべき噴水は、現在の上野恩賜公園の中央噴水広場に通じる場所に設置されていました。現在の噴水は改修されているものの、「博覧会の舞台」としての歴史を感じさせる景観が今も残っています。日差しの強い夏の日、噴水のしぶきが風に乗って涼を届けてくれるその光景には、当時の感動を重ね合わせることができます。

噴水の魅力と未来

噴水は都市の景観に潤いと癒しを与える存在です。音と水の動きが人々の心を和ませ、自然と集まる場をつくります。公共空間における噴水の役割は、現代でも非常に重要です。

この記念日をきっかけに、街角や公園で見かける噴水に少しだけ目を留めてみませんか？その背後には、明治の日本人が西洋文明と出会い、驚き、そして取り入れていった歴史が流れているのです。