11月6日はアパート記念日──日本初のアパート「上野倶楽部」に見る住まいの変遷

日本初のアパート誕生の日

1910年（明治43年）11月6日、東京・上野に日本で初めての木造アパート「上野倶楽部（うえのくらぶ）」が完成しました。この日を記念して制定されたのが「アパート記念日」です。上野倶楽部は、現在のような集合住宅の先駆けとして、当時の都市生活に新しい風をもたらしました。
それまでの日本では、長屋や下宿が一般的な住まいの形でしたが、アパートという概念はまさにモダンで革新的なものでした。

「上野倶楽部」とはどんな建物だったのか

上野倶楽部は、木造2階建ての集合住宅で、全18室ほどの部屋がありました。各部屋には電気やガスが通っており、共同の浴場と食堂を備えるなど、当時としては非常に先進的な設備を誇っていました。
まるで「共同体のような家」とも言えるこの施設は、単身赴任者や学生など、都市で新しい生活を求める人々の拠点となりました。いわば、現代のワンルームマンションの原型だったのです。

変わりゆく「住まい」のかたち

アパートの登場以降、日本の住宅事情は大きく変化していきます。戦後の高度経済成長期には、アパートが都市部の主要な住まいとなり、やがて「マンション」「シェアハウス」「ワンルーム」など、多様な住まいの形へと発展しました。
上野倶楽部の誕生から100年以上経った今も、人々の暮らしを支える集合住宅の文化は、日本の都市生活の象徴といえるでしょう。

まとめ──アパート記念日に思うこと

アパート記念日は、私たちの「住まいの歴史」を振り返る日でもあります。家は単なる建物ではなく、時代の価値観や人々の夢を映し出す鏡です。
11月6日には、少し立ち止まって、自分の住まいの歴史やこれからの暮らし方を見つめ直してみるのもよいかもしれません。