11月10日はエレベーターの日──日本初の電動式エレベーターが登場した日

日本初のエレベーターが浅草に誕生

1890年（明治23年）11月10日、東京・浅草にあった「凌雲閣（りょううんかく）」という高層建築で、日本初の電動式エレベーターが一般公開されました。この日を記念して、後に日本エレベーター協会が「エレベーターの日」と制定しました。凌雲閣は高さ約52メートル、当時は「東洋のエッフェル塔」と呼ばれたシンボル的存在。その塔内を上下するエレベーターは、まさに近代文明の象徴でした。

当時の人々を驚かせた「動く部屋」

当時の日本では、まだ多くの人が階段しか知らない時代。そんな中、「人が乗って上下する箱」が動くという光景は、人々に強烈な印象を与えました。乗るだけで胸が高鳴る体験だったでしょう。とはいえ、当時のエレベーターは技術的にもまだ不安定で、頻繁に停止したり、定員が少なかったりと、今のような快適さには程遠いものでした。

安全性と快適性の進化

その後、エレベーター技術は飛躍的に進歩し、安全装置や非常停止機能、最新ではAI制御やエネルギー回生システムまで導入されています。高層ビルの林立する現代において、エレベーターは都市生活に欠かせない「縁の下の力持ち」となりました。

エレベーターがもたらした社会の変化

エレベーターの登場により、人々の生活空間は「縦」に広がりました。高層マンションやオフィスビル、商業施設など、現代の都市景観はエレベーターなしには成り立ちません。凌雲閣での一歩が、まさに日本の都市発展の始まりだったと言えるでしょう。